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脊椎(椎骨)の異常

脊椎(せきつい)分離症・脊椎すべり症 ・脊椎間狭窄症

脊椎が前方部分と後方部分に切れている状態。円柱状の椎体から出ている弓状の部分である椎弓が、上下の関節突起の間でひびが入ったり分離したりします。主に、第5腰椎に起こります。脊椎(背骨)の中でも腰椎は特に頑丈にできていますが、日常生活やさまざまな運動で強い力がかかることが多く、比較的弱い椎体と椎弓の結合部分にひびが入ったり、切れたりするのです。背筋が衰え、骨が弱くなっている中高年や、背筋や骨の形成が未成熟の小学校高学年に多くみられます。

脊椎分離症で骨が前後に分離すると、体重や上体への荷重はすべて前方の椎体に集中してかかるために、やがて椎体が前方へすべり出すことがあります。これが脊椎すべり症です。

脊椎すべり症は普通、脊椎分離症が前提にありますが、時には、分離症がないのに椎体がすべっているものがあります。これを無分離すべり症といいます。中年以降の人の第4、または第5腰椎に多くみられ、椎間板が薄く狭くなる椎間板変性や、変形性脊椎関節症の時に起こりやすいものです。

脊椎分離症および脊椎すべり症の原因としては、先天性の骨形成の不全であるとする説が有力ですが、外傷による骨折で分離が生じることもあります。年齢的には、20歳ごろから症状が現れ、年を加えるにつれてひどくなる場合と、あまり進まない場合とがあります。

分離があっても、多くのケースでは痛みがありません。分離した部分が動きすぎると、周囲の組織に炎症が発生し、痛みを感じることもあります。この場合は、脊椎の後方へ出っ張った骨の突起で、背中の正中線上の皮下に触れる骨である棘(きょく)突起を押すと痛み、また、体を動かすと痛むのが主症状。

脊椎すべり症が強くなると、腰椎部の反りが強くなり、棘突起の配列に段差が生じ、腰痛だけでなく、下肢のほうにも頑固なしびれや痛みが出てきます。これは、神経の根元が圧迫されて起こる症状です。

無分離すべり症では、ひどいすべり出しにならないので、神経を圧迫することはほとんどありませんが、変形性脊椎関節症があるために、局所の圧痛や運動痛が起こります。

腰部脊柱管狭窄症

椎骨にある神経の通り道の「脊柱管」が、腰椎の加齢変性、周囲の靭帯の変性、腰椎分離・すべり症などが原因で圧迫され、脊柱管が狭くなって神経に影響を及ぼす疾患である。
●馬尾型
腰部の脊柱管の中央を通るのが神経の束となっている馬尾神経。坐骨神経痛のような強い痛みはないが、広範囲に症状が生じる。
両脚全体がしびれるため、しびれが脱力感をも生み、脚に力が入りにくいのです。さらに、思わぬ症状も出ます。
膀胱(ぼうこう)障害や直腸障害である。膀胱障害では頻尿や残尿感が起き、直腸障害では便秘が起こってしまう。

●神経根型
脊柱管の左右を走る神経根が圧迫されると、強い坐骨神経痛のような症状が出る。つまり、腰から足先にかけて激痛やしびれが走る。神経根は左右に通っているので、圧迫された側の脚に痛みが起きる。

●混合型
馬尾型と神経根型が同時に起きているタイプで、症状もまじり合っている。
これらの3タイプに共通している症状が「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。しばらく歩くと脚が痛くなって歩けなくなる。ところが、少し休むとまた歩けるようになる。その歩ける距離が重症になるに従って短くなる。
手押し車(シルバーカー)や買い物のカートを押して歩いている方々は、まず腰部脊柱管狭窄症です。姿勢が胸を張った状態ではなく、前傾しています。その姿勢だと楽なのです。前かがみになると圧迫が解放され、脊柱管が広がるからです